小児科医という立場の著者だからかける、遺伝子レベルから考えた子育て本です。
子育てを頑張りすぎているとき、子育てにちょっと行き詰ったとき、教育系の子育て本を読んだ後など、ちょっと違う角度から書かれたこの本を読むことで人間の本来持っている力を引き出しやすくなるかもしれません。
- 書籍名 :小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て
- 著者 :高橋孝雄
- 初版発行 :2018/9/6
- ページ数 :199ページ
- 読了までの日数 3日
- 読了までの時間 約3時間
平和と戦争について考える機会は年々減っているように思います。 当たり前の日常が当たり前ではないことに気づくこと。 平和とは何なのか 戦争とは何なのか なぜ戦争が起こるのか 子供たちには平和な未来を生きていってほ[…]
子育てに勝ち負けはない!
なにをあせっているのか、だれと競いたいのか。見えざる敵に立ちむかっても、焦りとむなしさしか感じません。おなかに赤ちゃんを宿しているときは、しあわせの絶頂のはずなのにすごくもったいないと思いますね。
小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て P61
この文章は、心にグサっと突きささってきました。
そして今の私に必要なフレーズだったのです。
引用した文章は、妊娠中の栄養について書いてある章だったのですが、
この2つのフレーズは、子育てにおけるあらゆる場面で直面する、心の葛藤ではないでしょうか。
子育てしている私たちは、一体だれと戦っているのでしょう………
他の子と比べて……
他のママと比べて……
自分の親と比べて……
立派な親にならなくては……
子どもを礼儀正しく育てなくては……
子どもに立派になって欲しい……
あれもやって、これもやって、あそこにいって、こっちにもいって、それからそれから……
わたし、だれと競っているんだろう。たしかに、見えない敵に立ちむかっているときの私は、焦りとむなしさしか感じない……のかも。
この短い文章が、私の子育て、生き方、全てにおいて『ちょっと待った!』とストップをかけてくれたような気がしました。
強くしなやかに生きるための3つの力とは?
共感力
共感力とは、誰かの気持ちに寄り添えい、自分のことのように歓んだり悲しんだりできる力のことです。
子どもには批評ではなく共感を
大人の悪い癖で、子供の行動を大人の尺度で批評しがちです。子供たちが求めているのは批評や常識ではないのです。子供に寄り添った言葉がけが、共感力を育むことを知っておいてください。
小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て P164
例えば、子供が転んだとき…
ついやってしまいがちな批評家、しかし、共感してもらうほうが子どもはうれしいんです。
まだ上手に話せない、小さな子供には母親が代弁してあげる、言葉にしてあげます。
大きくなってお年頃になってきたら、否定をしないで共感してあげる。
大事なことですね。
共感力のない人との会話は物足りない
共感力のある人、ない人。
私は、極端に共感力のない人と同じ職場になったことがあります。
その人は女性管理職で意思決定力が高く仕事もでき、他人の悪口などは言わない、一見するといいところばかりなのですが、話していて全く面白くないのです。
何年も同じ職場だったので話す機会はたくさんありました。
『話しやすくていい人』なので、時間があればよくコミュニケーションをとっていました。
でも、なにか物足りないのです。
それが共感力と気づいたのはしばらく経ってからのことでした。
共感力のある人と、共感力のない人に同じ話をしたとします。
共感力のある人は、自分のことのように親身になって受け答えしてくれます。
すると、私の心は満足するのです。
共感力のない人は、教科書的なアドバイスをくれます。
すると、私は「それくらい知ってるヨ…」と不満に思います。
受け答えに人間味があるかないかの違いにも似ているように感じます。
(男女による脳の違いもありますがここでは触れません)
当然、話していて楽しいのは、共感力のある人だし、相談したいと思えるのも共感力のある人ではないでしょうか。
私はこの『共感力』は、子育てに限らず、全ての人とのコミュニケーションには不可欠だと考えています。
人に共感する…それによって救われる人も多いはずです。
意思決定力
意思決定力とは、自分のことを自分で決める力のことです。
子どもに選択権を与える
どんなに小さなことでも良いと思うのです。
「あれやって!」
「これにして!」
と命令されたり、いつの間にか親が決めて勝手にやっている。
忙しい日々の子育ての中、ついついやってしまいがちなセリフやパターンです。
だけど、気づいたときにはこうしてみたらどうでしょうか…
「○○と△△どっちが食べたい?」
「今日着ていきたい服を選んできてくれる?」
「○○と△△だったらどっちに行きたい?」
「○○の皮むき(料理のとき)いま手伝える?」
すると、子供たちは嬉しそうに選択するんです。
積み重ねることで自己肯定感と意思決定力が育つ
子供に最終的な決定権をゆだねることで、「親のいいなり」ではなく、親子の間に「議論と話し合い」が成立します。人生は選択の積み重ね。日常の中にある多くの選択の場面で、メリットやデメリットを伝えアドバイスはしても、「さいごに決めるのはあなた」という姿勢をつらぬいてみませんか。自分で決めたことをやらせてもらった、という経験を積み重ねていけば、子供の自己肯定感と意思決定力は着実に強くしなやかに育っていくはずです。
小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て P161,162
ささやかなことの積み重ねで意思決定力が育っていくんですね。
この文章は、この先の私の子育てにも活用していきたい内容です。
小4長女は、長女だからなのか?!意思決定力がかなり育っている子です。
小2長男は、これからなのかな?!どうしても小4長女の影に隠れてしまう部分があるので、そこを引き出せるかどうか。それは、母であるキラリンの腕にかかっているのだと思います。
自己肯定感
自己肯定感とは、生まれてきてよかった、自分は自分でいい、と感じられることです。
子どもは皆、溢れるほどの自己肯定感をもって生まれてきます。
子どもの自己肯定感を守ってあげられるのは親であり、高めてあげられるのも親なんだそうです。
子どもの自己肯定感を奪ってはいけない
子どもの心はやわらかく素直なので、いちばん身近にいる母親に否定されたら、そこにあったはずの自己肯定感を一時的にせよ見失ってしまうのです。そのような日常が積み重なっていけば、自分を粗末に扱って、大きなチャンスをふいにするかもしれません。「どうせ自分なんて・・・・・・」と。
小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て P144
私はかつて子どものころ、母からストレス解消のための道具の如く、日常的に怒りをぶつけられ続け、自己肯定感がずたずたになってしまっていた時期があります。
その時に「どうせ自分なんて・・・・・・」いつもそう思っていました。だから文章を読んだときに「私のこと?」と、過去を思い出しました。
私自身が、子供という立場で、身をもって体験した過去があるからこそ、この文章は真実だと確信しています。
自己肯定感がズタズタになればなるほど、「私なんてどうなったっていい」「親なんていらない」「一刻も早く家から出ていきたい」考えることは悲観的なことばかりで、学校の先生にも同情されるほどメチャクチャな学生生活を送っていました。
いま大人になって思うことは、あの時間を有意義に過ごしていたら、見える景色は全然違っていたのだろうな。ということ。
なぜかと言うと、中学、高校生時代の私は、「早く高校を卒業してこの家をでたい」「今日一日、どうしたら母から怒りをぶつけられずに過ごせるか」「母から逃げるにはどうしたらいいか」こんなことばかり考えていたのです。将来のことを考えるでもなく、大学へ進学することを考えるでもなく、もちろん勉強をする余裕もなく。
何年もの間、無駄なことへの思考を一生懸命に巡らせていたわけです。
当時は、考えなくても良いことを考えざるを得ない状況でした。
しかし、その状況が違っていたら…と思うと今でもやるせない気持ちになるのです。
だからこそ、私は4人の子供達には自己肯定感を大切に、そして高めていってほしいと願っています。
私が親という立場で、子供たちに貢献できれば、本当にうれしいです。
子育てが母親の自己肯定感を高める
繰り返しになりますが、子どもたちの自己肯定感を育んでいく最大の力は、おかあさん自身の自己肯定感だと思います。そして、育児という経験がおかあさんの自己肯定感に大きな影響を及ぼします。
「この子がいてよかった、この子を産んだのはわたし」という気持ちは、おかあさんの自己肯定感を大きく膨らませます。
小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て P152
そうなんです。子育てをすることで、母である私の自己肯定感も育まれていくのだそうです。
子どもたちの自己肯定感。
母親の自己肯定感。
親子で自己肯定感を高めあうことができるのです。
なんてステキな文章なんでしょう。
かつてズタボロになった私自身の自己肯定感を子供たちがいるおかげで、高めていくことができるのです。
これは、実際に私が既に実感している感覚でもあります。
こんなふうに…
先月、小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育てを読み、自己肯定感に強い関心を持ちました。 今回は、自己肯定感に特化した本を選び、図書館から借りてきました。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https:/[…]
さいごに
子どもを育てることで親も育っていく。
『自分育て』だなんて聞いたことがありますが、本当にそうだと私は思っています。
親が進化せずに健全な子どもは育たない…とまでは言いませんが。
やっぱり親も時代に合わせて、年齢に合わせて、生きている限り成長し続けることを子どもに見せるべきだと思うのです。
だから私は本を読みます。
そして多角的な視点を手に入れ、その時『最高』と思えるやり方で子育てをします。
学校や近所などのお母さんたちとの井戸端会議も良いですが、良質なコミュニケーションを取れているお母さんたちって少数派ですよね。
極端に言えば、雑音だけのコミュニケーションから得るものはありません。
いらぬ情報を得て一喜一憂するのなら、自分の価値観をしっかりと持ち、良質なコミュニケーションをとれるお母さんと情報交換をし、そして本を読む。
著書にもちらっと書いてありましたが『無知な親』にはなりたくない。
『やり方を知らなかっただけ』で済ませるのではなく、最善を尽くしていきたい。
そう強く思わせてくれた本なのでした。